成田達輝と萩原麻未の二重奏を聴きました。浜離宮朝日ホール。全体を通して若々しいエネルギッシュな表現が一貫していました。萩原のピアノはほとばしる感性で全体の音楽を主導したと思います。スタインウェイピアノを全開の状態にしていても、巧みな音色のコントロールと絶妙な弱音によりヴァイオリンを押しのけず融合する響きとなっていたのはさすがです。成田のヴァイオリンを聴くのは初めてでしたが、自在な表現で聴かせました。特に多彩な音色は魅力的ですね。今度は是非ヴァイオリン・コンチェルトを聴いてみたいです。
プログラム冒頭のスプリング・ソナタから若い感性に満ちた表現に惹きつけられました。大胆なルバートや消え入るような最弱音の多用など、奔放とも言える表現。これを「古典的な構成感や均衡に欠けている」と批判するのはたやすいが、そんなことばかり気にしてつまらなくなったベートーヴェンの演奏を我々はどれだけ聴かされてきたことか。他に、ストラヴィンスキーやグリークもそれぞれ意欲的な解釈で聴かせましたが、特筆すべきは酒井健治の新曲「カサム」(委嘱・初演)。聴き手の心に自然にすっと入ってくる曲想が素晴らしく、小品ながらこの作曲家の前途洋々たる将来を予見させるに足る作品だと思いました。そして二人の奏者がそれを十二分に咀嚼して、見事な仕上がりになっていたと思います。この曲は冒頭からアンサンブルが非常に難しそうだし、特にピアノは譜読みだけでも大変なはずですが、そういう技術的な問題を軽々と乗り越えてしまった感のある出来でした。
プログラム冒頭のスプリング・ソナタから若い感性に満ちた表現に惹きつけられました。大胆なルバートや消え入るような最弱音の多用など、奔放とも言える表現。これを「古典的な構成感や均衡に欠けている」と批判するのはたやすいが、そんなことばかり気にしてつまらなくなったベートーヴェンの演奏を我々はどれだけ聴かされてきたことか。他に、ストラヴィンスキーやグリークもそれぞれ意欲的な解釈で聴かせましたが、特筆すべきは酒井健治の新曲「カサム」(委嘱・初演)。聴き手の心に自然にすっと入ってくる曲想が素晴らしく、小品ながらこの作曲家の前途洋々たる将来を予見させるに足る作品だと思いました。そして二人の奏者がそれを十二分に咀嚼して、見事な仕上がりになっていたと思います。この曲は冒頭からアンサンブルが非常に難しそうだし、特にピアノは譜読みだけでも大変なはずですが、そういう技術的な問題を軽々と乗り越えてしまった感のある出来でした。