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May 20th, 2013

5/20/2013

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来日中のA氏から色々と話を聞く機会がありました。国際的な賞を受賞している建築家・デザイナーです。彼にミュージアムの設計についてパワーポイントで説明を受けました。「ミュージアムは作品を保管する倉庫であってはいけない。ミュージアムを閉じたものにせず、作品たちを広く社会にはばたかせるにはどうすればよいか・・・」
単純化するのは危険ですが「コンセプトから入る」というのはヨーロッパ人に良く見られるやり方だと思います。「自分はこういう思想をもっている。だからこういう形が必要だ・・・」という流れです。これは音楽にも美術にも・・・およそあらゆる芸術作品全般に言えることだと思います。いやむしろ、思想を作品に化体させることこそが、近代以降に西洋の芸術が圧倒的な存在感を示してきた原点だと言うべきでしょう。アルチザンからアーティストへ。

日本にはそういう伝統はほぼなかったと思います。オリジナルな思想というものよりは、例えば「自然こそが理想である」とか「芸を極めていけば自ずから何かが生まれる」といった発想になったのです。

たとえば小津安二郎の映画。これが世界的に非常に高い評価を得ているのは、彼独自の芸術性があるからですが、彼自身はそれを意識的にやっていたとは思えない。「世界の映画史の中で自分は何者か」などと彼が考えていたはずもありません。自分の個性と日本の伝統が絡み合ったものが、それまで世界のどこにもなかったような独自の作品に結実し、それが世界の人々の心に訴えたのです。

もちろん、意識的であるかどうかが、その作品の価値を規定するわけはありません。意識的か無意識かにかかわらず、小津の映画に普遍的な価値があることに変わりはありません。

ただ、新しいタイプの芸術作品が生まれてくるようになるには、そこに新たなコンセプトが必要であろうとは思います。二十世紀初頭の音楽界では、ロシアからストラヴィンスキーが、ハンガリーからはバルトークが新風をふきかけました。ではクラシック音楽の本家本元のオーストリア出身のシェーンベルクはどうしたかというと、十二音音楽を確立したのです。彼が伝統の中心から新しい道を作り上げるには抽象的な手法しかなかった、と言えるかもしれません。彼が歴史的なイノヴェーターであることは疑いようがありません。

・・・こう書いてきたら、チャールズ・ローゼンの「シェーンベルク」に書いてあった話を思い出しました。細かいところはうろ覚えですが、こういう話です。シェーンベルクは一時バルセロナに住んでいた。すると友人の音楽家(ウェーベルンだったか?)から、バルセロナでシェーンベルクの作品を演奏したいという話があった。するとシェーンベルクはこう答えた。「いいかい。僕はバルセロナに友達も大勢できて、一緒にテニスをやったりしていて良い関係が築かれているんだ。それなのに、もし僕のことを「訳のわからない前衛音楽の作曲家」だと知れたら人間関係が破壊されるじゃないか。だから頼むから演奏はやめてくれ」

芸を磨くとか職人芸、といったものでなく、自分の思想を芸術に反映させようとした人たち。彼らの苦労には常人には計り知れないものがあるということでしょう。







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